はじめて教わった料理は目玉焼きだった。
熱したフライパンに油をしいて卵を割り入れ、少し白身に火を通したところでお水を少し入れる。フライパンに蓋をして蒸し焼きにする。
焼き上がったら塩コショウをしてお皿に盛って完成だ。
それからは目玉焼きはその方法で作っていた。
美味しかったし特に不満も感じていなかった。
そう、あのアニメを見るまでは。
国際目玉焼き会議
大体僕と近い年代なら分かるだろう。あのアニメとは美味しんぼのことだ。
原作は当時の大ヒット漫画で、流行りに流行ってアニメ化、実写ドラマ化までされた作品である。
(一部の界隈では伝説となっているが、ファミコン版の美味しんぼも存在する)
あの漫画の影響力は強く、こうした食べ方が美味いだの、通はこうして食べるだの、皆がにわか食通になってうるさかった時代だ。
うるせぇ、わさびは醤油に溶かして食うのが一番うめぇんだよ。放っておけ。
おっと。わさびは関係なかった。
当時小学生だった僕はアニメは内容に関わらず見ていた。多分、絵が動くだけで面白かったのだろう。
美味しんぼもろくに意味は分からなかったが楽しんで見ていた。
そこで「国際目玉焼き会議」の回を見たのだ。
当時幼かった僕でも作れる料理「目玉焼き」がフィーチャーされた回で、僕はこの時に目玉焼きの色々な焼き方を知ったのだ。
目玉焼きの焼き方は一つではない!! 世界が少し広くなった気がした。
僕は早速試すことにした。
そして、自分が一番美味いと思う目玉焼きの焼き方を小学生にして悟った。
両面焼きこそが至高の目玉焼きだと。
オーバーミディアム
両面焼きと一口に言っても、黄身の扱いで更に細かく分類できる。
僕は黄身が半熟より少し柔らかいくらいが好きだ。
半熟の両面焼き。これをオーバーミディアムと呼ぶ。(らしい)
黄身がほぼ生のオーバーイージーと違い、ひっくり返した時に黄身を割ってしまうことは少ない。
黄身の美味しさ、調理の手軽さから考えて最強の焼き方だと言えるだろう。
僕の場合はこう作る。
中火でフライパンを温めて多めに油をしく。油が熱くなったら弱火にして卵を割り入れる。
多めの油で白身が揚がったようにパチパチ良い音を立てて、外側がきつね色になったらフライ返しでひっくり返す。
この時、フライパンのふちを上手く使ってひっくり返すと黄身が割れにくい。
多めに入れた油のおかげで滑りやすいので、すんなりひっくり返せるはずだ。
そうしてひっくり返して30秒~1分で完成。1分以上は黄身が固くなってしまう。
お皿に盛り付けて好きな調味料をかけて食べればいい。
パリパリの白身の食感と香ばしさに柔らかい黄身の美味しいことったらない。多めに入れた油の美味みもある。
半熟の黄身を割って白身と混ぜて食べるのもオススメだ。
今日も目玉焼きを食べたのだが
最近金欠なので目玉焼きでご飯を済ませることにした。卵かけご飯でも良かったが、ちょっと寒かったので温かいものが食べたかった。(北海道札幌市はもう夏は終わっている)
ハムエッグにしようと思い、ロースハムを炒めて、その上から玉子を割り入れた。こうすると白身とハムが合体する。
特に合体させる意味はないんだが、なんとなくこうしている。別々に焼いても味は変わらんと思うが。
いつものように両面焼きにしようと思ったのだが、フライ返しがない。
そういえば大分歪んで使いづらかったから、この前捨てたんだった。
箸でもひっくり返せるかと思ったが、卵を3個も使っていたので諦めた。1個ならひっくり返せた。
まぁ片面焼きでいいや、と思いそのまま食べた。蒸し焼きにもせず。
これがまぁ美味かった。トロトロプルプルの白身に、濃厚な黄身。カリカリに焼けた白身と柔らかい白身のコントラスト。
時折ロースハムの肉の旨味が襲ってくる。あぁー際限なく白飯が食べられるー!(茶碗一杯しかなかったけど)
30代になって気づく片面焼きの目玉焼きの美味しさ。
これは……最高だな!!
というわけで、これからは片面焼き推しで行きたいと思います。
両面焼きに限るとタイトルに書いたが、スマンありゃウソだった。
目玉焼きは好きな焼き方で食えばいいのだ。