修学旅行でマックを食べた話

 今お酒を飲みながら楽しい気分で川柳少女という漫画を読み返していたのだが、そこで修学旅行のイベントが起こっていた。

 そこで中学の時の修学旅行をふと思い出した。

 修学旅行の班決めは完全なクジ引きで、特に仲良くもない同級生と旅行したのだ。

 その時に同じ班になったのが佐藤だ。ちょっとヤンキーが入っていて、年上の男と付き合っていると噂の女子だった。僕は当時からガチガチのオタクだったので佐藤とは全く付き合いがなかった。正直、苦手な女子だった。

 二日目の自由行動の時間だった。僕たちは青森で自由行動をしていた。お昼近くになり、この後何を食べるか? なんて話していた。

 その時に佐藤が言ったのだ。

「お昼なんてマックで良くない?」

 当時、僕たちは北海道の人口四千人くらいの村に住んでいた田舎者だった。それでも。それでも! せっかく旅行に来ているのにマクドナルドで昼食を済ませるのは嫌だと思った。

 旅行に来たらその土地の名物を食べるべし。美味しくなくても記憶には残るし。僕はそういう考えだった。

 結局、ヤンキー佐藤の提案どおりマクドナルドで軽く昼食を済ませて、次の観光地へと向かった。

 僕はこのことに不満を抱いてきた。なぜわざわざ旅行に来てマクドナルドを食べなくちゃいけないんだ。と憤っていた。

 いくら田舎者と言えどもマクドナルドなんて食べようと思えば週一で食べられる。旅行の際には、無理してでも土地の食べ物を食べるべきだと思う。その気持ちは今でも変わらない。

 皆、それぞれの旅行観を持っているのだろう。

 特に、僕はヤンキー佐藤のことが嫌いだった。ヤンキーとオタクは相容れないし、佐藤は可愛くもなかった。オカメみたいなヤツだったし。

 

 しかし、当時はリアルだったヤンキー佐藤の面影も消えた。

 そして僕は今、可愛い二次元の女の子が出てくる漫画を読んでいる。

 脳がバグった結果、ヤンキー佐藤は可愛い二次元の女の子になった。

 佐藤は田舎に住む女子高生で、マクドナルドで昼食を済ませちゃう都会のドライな女子高生に憧れてる可愛いイモ女子高生になったのだ。

「昼なんかよー、適当にマックで良くね?////」

 それが都会派女子高生だと思い込んで照れながら無理に修学旅行でマクドナルドを食べる女子高生になったのだ。

 ふぅー!! 無理に都会派ぶりやがってよぉー!! 多分、都会の女子高生でも旅行先ではマクドナルド食べないと思うよ!!

 

 かーわいいー!! 田舎者のくせに都会派ぶって、お昼はマックで良くね? とか言っちゃう田舎者ヤンキー!! 超かわいいー!!

 やっべ。生まれて初めてヤンキー佐藤に萌えている。

 

 修学旅行でマック。良いね!

 そんなことを思いながら、グビグビ酒を飲んでいる。

 なるほど。歳をとるたびに、経験を積むごとに人生とはかくも萌えに包まれるのか。

 

 長く生きる価値はある。
 
 過去に嫌な思いをしていても、それを萌え体験に変えることができる。

 人生は生きる意味がある。